
撮影から運用まで一貫したディレクションで、
メンズブランドの世界観を構築する
近年、D2C寄りのブランドも含め、ECやSNSなどデジタル上の接点でブランドや商品の世界観をどう伝えるかが、より重要になっています。
化粧品ブランド「GATSBY(ギャツビー)」などを展開する株式会社マンダム(以下、マンダム)では、メンズ商材を中心に、身だしなみやセルフケアを支える商品つくりから、その発信にも注力しています。
Dynamoはそのクリエイティブ領域をサポート。一部商品の撮影やSNS施策などを一緒に進めています。そこでこの記事では、マンダムBX推進部の若月悠貴氏と、Dynamoディレクターの永田洋輔が対談。プロジェクトを進めるなかで、メンズ商材ならではの魅力をどうズレなくかたちにしていったのか。そのプロセスとエピソードをうかがいました。
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若月 悠貴氏株式会社マンダム BX推進部 -
永田 洋輔株式会社Dynamo ディレクター
現場での安心感と緻密な撮影ディレクション

現在、お二人はどのような領域の業務をされているのでしょうか。
マンダム 若月さま(以下、若月)
現在はBX推進部という部署で、D2Cブランドを担当しています。
具体的には、美容家電であればドン・キホーテやAmazon、楽天のような特定流通における宣伝全般を見ています。
主にECやSNSなどのデジタルを起点に商品の見せ方や伝え方を設計していく領域ですね。

Dynamo 永田(以下、永田)
ディレクターとして、撮影を中心に企画から現場の進行、アウトプットの品質管理までを見ています。
じつは私、もともとフォトグラファーだったんです。そのためライティングやレンズ選びなど、「どう写すと狙ったトーンになるか」といった専門的な分野まで現場で判断し、それぞれのメンズブランドの世界観に合わせたクリエイティブを制作しています。
マンダムとDynamoでプロジェクトを進めるようになったきっかけを教えてください。
若月 最初は、私が別の部署にいた頃ですね。当時は、「GATSBY(ギャツビー)」などナショナルブランドの商品のビジュアルやモデル撮影などの案件で、Dynamoさんにお願いするようになりました。

▲Dynamoがクリエイティブ領域をサポートした事例
若月
たとえば、「ワックス」であれば、種類ごとにターゲットもおすすめのヘアセットも違うので、モデルも髪型も変えて撮る必要があります。
監修としてサロンの方も入るのですが、永田さんはそういった現場での連携も慣れていらっしゃって安心感がありました。
永田 監修サロンの方との会話は、専門用語が飛び交い、現場判断も多いので、フォトグラファー時代の経験が役に立っていますね。現場で「譲れないポイント」も早めに握り、緻密なディレクションができるよう心がけています。
若月
メンズは特に「かっこよさ」のツボがありますよね。そのために、モデルもプロダクトも魅力的にディレクションして、なおかつ男性が「良い」と思うポイントを押さえる必要がある。
ブランドとしての世界観や目指す方向性を、解像度高くアウトプットいただけるのでとても助かっています。
現場での安心感と緻密なディレクションがあったからこそ、いまの部署でも一緒にプロジェクトを進めているんですね。

▲Dynamoがクリエイティブ領域をサポートした事例
メンズ向け美容家電をどう魅せるのか?
現在進めている美容家電ブランド「ium(イウム)」のプロジェクトについて教えてください。
若月
「ium」は、メンズ向けの美容家電ブランドです。メンズ特有のニーズに合わせて、必要な機能を厳選しつつ、シンプルでミニマルなデザインになっています。
Dynamoさんには、本ブランドの商品撮影やSNSのキャンペーン運⽤などをお願いしています。

▲美容家電ブランド「ium(イウム)」のキービジュアル
プロジェクトを進めるうえで、両社でどういった部分を擦り合わせていったのでしょうか?
若月 「ium」は、ギアのような黒基調で、マットな質感とスタイリッシュなデザインが特徴です。これまで担当していた商品の撮り方とは異なり、最初どう撮るのが良いのか正直迷っていました。
永田 実際の撮影前にも、テストを何回かやりました。1人でスタジオに入って、照明を組んでライティングもしましたね。
若月 そうなんですか、すごい。知らなかったです(笑)。
永田
実際にテストでやってみると、すべて黒基調の商品なので「ロゴ」が出にくいんです。これがわかったのは大きな収穫でした。ロゴをしっかり写そうすると、商品が明るくなりすぎる。逆に商品を暗くするとロゴが写りにくい。
場合によってはロゴだけ合成する、という選択肢がありますが、できるだけ素材で完結させたほうが良い写真になるので、事前に絶妙なラインを模索していました。

▲ライティングのこだわりが活かされた美容家電ブランド「ium(イウム)」のクリエイティブ

フォトグラファーとしての知見を活かした対応ですね。実際の撮影で印象に残っていることはありますか?
若月
「EMSヘッドスパ」の撮影が印象的でした。この商品は、お風呂の中でも外でも使えるものなので、お客さまにそれぞれのシチュエーションをイメージしていただける写真にしたい。
そのうえで、ボタンもリングもロゴも、アタッチメントも見せていきたい。そんな話をさせていただいたところ、「スタジオの施工」から対応いただき、とても驚きました。

▲スタジオ施工から作り込んだ「EMSヘッドスパ」のクリエイティブ
なぜ、スタジオの施工が必要だと感じたのでしょうか?
永田
こういった商品撮影でよく使われるハウススタジオを借りると、どうしても既視感のあるクリエイティブになってしまうんです。だったらブランドイメージに合う環境からつくろう、と。
ブランドの世界観を表現するために、シャワーヘッドを変えるところからはじめて、壁とシャワーのセットを施工で組みましたね。
若月
ご提案いただいたときは「そんなことできるんですか?」と思いましたが、Dynamoさんであれば良いものになるだろうという安心感はありました。
結果、ブランドの世界観にバッチリ合う、ラグジュアリーなお風呂で撮影した雰囲気になっていました。

写真だけでなく、動画制作についても伴走しているとうかがいました。動画のディレクションで印象に残っていることはありますか?
永田
「マルチトリマー」の動画撮影ですね。トリマーはスペックを並べるだけだと伝わりにくい商材なので、まず「この製品の強みが、生活者のどの瞬間に効くか」を整理しました。
実際に触って使い方を確認して、見せるべき所作や撮影カットを決める。そのうえで、動画のトーンに合うモデル像まで含めて検討していきました。
若月
トリマーは「使っているシーンの想像」がすごく重要だったので、動画にすることで説得力が出ました。
製品をしっかりと理解したうえで、モデル選定まで伴走していただけるので、マンダムとして伝えたい価値がブレずに最後のアウトプットまで持っていける感覚はありますね。
永田
この時は、モデルさんに「撮影で剃るのでヒゲを伸ばした状態で来てください」とお願いしました。
お客さまがリアルなシーンを想起できること、さらにその製品で本当に伝えたい価値を「画」として表現することは動画のディレクションでも意識しています。
SNSでのキャンペーン運用はどのように進めているのでしょうか。
永田
いきなり投稿単体をつくり始めるのではなく、「まずはiumのアカウントでどんな世界観を見せるか」といった企画段階から一緒に考えていきました。
そのアカウントでめざす方向性と撮影現場が分断してしまうと、「素材はあるのに運用で迷う」「運用が先行して世界観が揺れる」といったことが起きやすくなります。
そのため、Dynamoでは、アカウントの世界観・撮影やクリエイティブ制作・運用の導線まで含め、何がそのブランドにとって最善手なのかを考えてご提案しています。
若月
少人数の体制なので、撮影と運用を同じチームで伴走してもらえるのがフロー的にもスムーズでとても助かっています。
そしてなにより、ブランドサイトもSNSも統一されたトーンで世界観が構築できるので、お客様もブランドを理解しやすい環境になっていると思います。
ローンチ時は、フォロワー0の状態から始めましたが、広告施策を組み合わせることで段階的な認知獲得ができています。ターゲティングも一定の手応えを得ているので、今後も継続していってさらにインパクトを大きくしていきたいですね。

「リモートでの撮影立ち会い」で、工数を減らし意思決定をスムーズに
ディレクションの現場では、「リモートでの撮影立ち会い」を取り入れているとうかがいました。具体的に、どんなメリットがありますか。

若月
これが本当に助かっています。BX推進部は少人数で回しているので、撮影のたびに現場へ行くとなると、移動も含めて工数が一気に増えてしまうんですよね。
リモート立ち会いだと、普段の業務を進めながら、判断が必要なタイミングだけ声をかけてもらい確認できます。限られた体制でも、クオリティを落とさずに進められるんです。
永田 撮影中の画像や映像を共有して、必要があれば書き出した素材をすぐに送る。現場で「ここは処理します」「ここは合成が必要なので別撮りします」といった判断を対話のなかで進められるので、後工程のやりとりも減ります。
若月 Dynamoさん、ひいては永田さんのブランドへの理解度が高く、安心感があるからできることだとは思いますが、私たちのような少人数体制には、かなり相性がいいやり方だと思っています。
永田
もちろん、モデルを起用した動画撮影やCMのように「その場でニュアンスを揃えたい」「撮り直しが効かない」ケースは、来ていただいたほうがいい場面もあります。
逆に、商品カットや素材撮影のように判断軸が明確なものは、リモートでも十分に品質とスピードを両立できる。その使い分けまで含めて、一緒に設計している感覚ですね。
昨今、生成AIの登場で「それなりのビジュアル」がつくれる時代になったと思います。そんななかで、リアルな撮影現場だからこそ生まれる強みはどういった部分だと思いますか?

若月
実写の撮影が持つ最大の強みは「空気感」の再現だと考えています。
たしかに生成AIによって、誰もが簡単にそれらしい画像や映像をつくれる時代になったからこそ「実際にそこにいた」「本当に体験した」という事実をともなう実写の価値は、これまで以上に高まっているはずです。
撮影の現場にある、光の入り方や製品の質感、被写体と空間の距離感、動いたときの微妙な揺れなど、言語化しづらい情報を丁寧に積み上げることで、見る人に届くリアリティが変わってくると思います。
撮影を「全社の資産」に変える。
そして次は、もっと自由なクリエイティブへ
撮影は、SNS用素材だけでなく、「BtoB向けのカタログ」にも広がっていったとうかがいました。そこには、どんな背景があったのでしょうか。
若月
じつは以前、カタログ用の撮影で、表現や仕様にばらつきがでてしまうケースがありました。そのため活用したい場面によって再撮影が必要になることもあったんです。
そこで、カタログのクオリティをあらためて見直し、会社として共通で活用しやすいかたちにできれば、業務効率の改善にもつながるのではないかと考えました。
永田
そこから、これまでやりとりさせていただいたこともあって、カタログ用の撮影を一括でご依頼いただきました。
カタログ撮影は、点数も多いですし、担当者が複数にまたがることもある。だからこそ、データの置き場も含めて「ここに全部あります」という状態をご提供しています。

▲撮影はSNS用素材だけでなく、サイトリニューアル素材やBtoBカタログまで広がり、撮影領域の多くをDynamoが担うかたちになっている。
若月
白背景の商品画像って、想像以上にさまざまな場面で使用されます。お客さまや取引先の目にふれる機会も多く、メディア向けのリリースでも使われます。つまり、「説明するための写真」のクオリティが低いと、商品そのものが悪く見えてしまう。
そういった課題を解決しつつ、全社の「資産」として活用できる素材が揃ったことは本当に大きいです。
クリエイティブのクオリティはもちろん、そうした運用まで含めて整えるところまで入っていただける点が、Dynamoさんにご依頼する理由だと思います
今後、挑戦してみたいことはありますか?
若月
ブランドを問わず、もっとカジュアルな形式での撮影依頼ができると面白いなと思っています。
たとえば、永田さんがつねに商品を持ち歩いていて、気に入っているサウナに行ったときに、商品をついでに撮ってもらう、みたいな。SNSで使う素材は、スタジオセットで作る「完璧さ」より「生感」があったほうが刺さることもあると思っています。
永田
その発想、なかったですね。たしかに、ここで撮れたら強い、って場面はあります。
そういった新たなことに挑んだり、新しいブランドの世界観から一緒に考えたり、もう一段難しいところにチャレンジできたら嬉しいですね。

- Your Game Change.